誰でも楽しめる「跳ばないバレーボール」 高知のパラアスリートが魅力発信、障害者も健常者も笑顔に
2026年8月20日(木) PM7時19分
高知県四万十市出身のパラアスリート・小松沙季さん。障害を抱えてから、社会に自分ができることを模索し続ける彼女の新たな挑戦を追いました。
子どもも、大人も。障害者も、健常者も。ボールに触れたら生まれる笑顔。誰でも参加できるバレーボールの一番の特徴は「跳ばないこと」。スポーツの魅力を伝え続けるアスリートの挑戦を取材しました。
記者:
「おはようございます」
小松沙季さん:
「早いですって。おはようございます」
四万十出身のパラアスリート・小松沙季さん(31)。静岡のクラブチームでプロバレーボーラーとして活躍していましたが急病により、車いす生活に。その後、カヌーに出合い東京パラリンピックにも出場しました。
2025年にパラカヌーからやり投げに転向し、6月に行われた大会では自身の持つ日本記録を更新しました。一方で、障害者への理解やパラスポーツを広める啓発イベントを開催するなど精力的に活動しています。
そんな小松さんは今、新しいスポーツづくりに取り組んでいます。
小松沙季さん:
「(障害者だけでなく)まったくバレーにすら触れたことない、スポーツにすら触れたことがない、ちょっと苦手意識があるとかそういう人たちにも参加できるスポーツ。『跳ばないバレーボール』の体験会をやろうかなあと思って」
「跳ばないバレーボール」とは一体どんなスポーツなのでしょうか。小松さんが向かった先は鹿児島県の奄美大島です。
小松さんにとって奄美はスポーツ合宿で何度も訪れているゆかりの地。2025年も、車いすラグビーの池透暢さんや元関脇の豊ノ島さんなど高知を代表するアスリートたちと奄美を訪れ、地元の方々と交流を深めてきました。
【体験会当日】
ボランティアスタッフとして集まったのは地元・大島高校のバレー部員や専門学校に通う学生たちです。
ボランティアスタッフ:
「(声をかけたりしたら)嫌がられたとか、もしかしたらそういうこともあるかもしれない。けどそれは間違いではない。耳を澄まそうとしたことが正解なので。皆さんなりに動いてやってくれたらいいなと思います」
地元の専門学生:
Qボランティアに参加した理由は
「福祉に関わってく上で、どういった対応ができるかなっていうのが、授業では習うんですけど、実践の中でまだ全然経験したことがなくって、それの勉強にもなるなって思ったので。不安もありつつ、大丈夫かなっていうのもありつつ」
参加者:
「おはようございます」
車いすの人や、障害をのある子どもがいる家族など全部で65人が集まりました。
「跳ばないバレーボール」はバレーボールをベースに、障害の有無や年齢に関係なく誰もが楽しめるレクリエーションスポーツです。
ジャンプができないこと以外は相手コートに3回でボールを返すなど、基本はバレーと同じです。
ルールがわかったところで―
小松沙季さん:
「では第一試合、開催します」
ボールをキャッチ、スロー、手渡しもOK。床に落ちても2バウンドまではセーフです。
ボールが自分のところに飛んでくると自然と笑顔がこぼれます。夢中でボールを追いかけるのは師玉隼颯くん(8)。この日を楽しみにしていました。
隼颯君は地元の支援学級に通う小学3年生。放課後は働くお母さんの帰りを待つ間、デイサービスで過ごしています。
記者:
「隼颯君はボール遊びは好きなの?」
師玉隼颯くん(8):
「好きですよー」
母・師玉歩美さん:
「理解力がやっぱり難しさがあるので、(友達から)『隼颯がいるとこれができない』とか『隼颯のせいだ』って言われてしまうんじゃないかっていう不安もあったり。ただ、やっぱりみんなと同じようにさせてあげたい、経験してほしいなっていうのはずっと思っているところです」
イベント当日、お母さんは積極的にボールに触れる隼颯君をずっと見つめていました。
一方、こちらの親子にとっても特別な一日となりました。西碧音さんのお母さん・さつきさんは数年前にパーキンソン病を発症。現在は施設にいるため、親子で過ごす時間はほとんどなくなってしまいました。
記者:
「お母さんと一緒にできて楽しかった?」
西碧音さん:
「楽しかった!」
記者:
「(バレーを)やっている時に笑顔だったので」
母・さつきさん:
「楽しい」
“跳ばない”からこそ見えてくる未来への可能性がそこにありました。
小松沙季さん:
「これだけいろんな人が障害の有無もそうだし、障害だってそれぞれ違う中で集まっても同じく楽しめたっていうのはすごい良かったと思います」
さらに―
小松沙季さん:
「パラスポーツも万能ではないので、そこからもこぼれてしまう人が参加できるこの新しいスポーツっていうのがそういう人を拾うことができたらいいなと思ってます」
挑戦は続きます。
小松さんは10月18日から名古屋で行われるアジアパラ競技大会に出場が決まっています。小松さんが出場するやり投げは19日が予選、決勝は20日の予定です。
アジア各国からトップアスリートが集まる国際大会で自己ベストを更新できるか、期待が高まります。










