「今の私たちにも響く」50年前の環境闘争、『高知パルプ生コン事件』坂手洋二さんが演劇化
2025年11月18日(火) PM7時26分
今から50年以上前に高知市で起きた「高知パルプ生コン事件」を題材にした演劇が19日から高知市で上演されます。作品を手がけた劇作家の坂手洋二さんに今、取り上げる意義などを伺いました。
高知パルプ生コン事件は1971年、高知市旭町3丁目にあったパルプ工業の工場から江ノ口川に垂れ流される有毒な廃液を止めるため、市民4人が生コンクリートを排水管に流し込み封鎖したもの。最終的に工場は操業停止に追い込まれました。
舞台の稽古の様子:
「廃液は無処理で生のまま会社裏の小川に垂れ流された」
「直ぐに被害が出始めた」
「ウナギが大量に死んで浮かび上がった」
「亜硫酸ガスを吸った住民が病院に担ぎ込まれる」
「梅の木やなすびが葉を巻いてしまった」
「排水は市内河川、江ノ口川を経由して浦戸湾に流入する」
舞台を手がけたのは、劇作家で演出家の坂手洋二さんです。坂手さんは2023年、第五福竜丸を描いた公演を高知で行った際、この事件を聞き、興味を持ちました。
劇作家・演出家 坂手洋二さん:
「さすがに50年以上前ですからいろんな人が大事に思っているんだけど、だんだん忘れられてきていることがちょっと残念な気がしまして、そういう意味では、僕がたまたま演劇をやっていたものですから、演劇にしたらどうかというふうなことを言っていただいて。」
この事件は現代社会に通ずるものがあると話します。
劇作家・演出家 坂手洋二さん:
「今の日本の社会でも、それこそ原発事故がありまして。放射能で汚染された土とか水をどうするっていう処理の問題も全国的な問題になってますよね。ですから、高知パルプ生コン事件は一つの企業の問題のように見えるんですけど、行政であるとか、その当時の資本の論理であるとかそういうことと暮らしている、あるいはその仕事をなさってる人たちがどう向き合ったのかという歴史が全部入ってるんですね」
その上で、今取り上げる意義についてー
劇作家・演出家 坂手洋二さん:
「高知のその50年、ちょっと前の出来事を検証しながら今の私たちにも響いてくる、そういう物語として劇にしていくことで高知に限らない話に広がるところもありながら。だからこそ、改めてそのことの重要性を高知の人だけじゃなくて僕たちもみんながもう一度認識できるそういう機会になればいいかなと思ってますね」
舞台「高知パルプ生コン事件」は19日と20日、県民文化ホール・グリーンホールで上演されます。チケットは一般4000円、25歳以下と学生は2000円です。県民文化ホールで販売しています。
詳細は高知公演の実行委員会080-4030-0956までお問い合わせください。










