安野光雅さんの“ふしぎな世界”を体験 緻密な絵本原画約150点 県立美術館で9月7日まで【高知】
2025年8月21日(木) PM7時30分
『もりのえほん』(1977)の緻密に描かれた森の風景。よ~く見ると…動物が隠れています。イヌに…パンダ…そしてアライグマ!実はほかにも16匹隠れているんです。
高知県立美術館で開かれている展覧会「安野先生のふしぎな学校」。
ユーモラスな世界観で知られる画家・安野光雅さんは島根県出身で、2020年に94歳で亡くなるまで絵本や挿絵を数多く生み出し、国の内外で高い評価を受けました。安野さんは小学校の美術教師を務めるかたわら、本の挿絵などを手掛けていました。
今回は図工や国語など、授業の科目に見立てた構成で絵本の原画を中心に約150点が展示されています。
代表作の1つが「A」『ABCの本 へそまがりのアルファベット』(1974)。机の角がアルファベットの「T」に見えた安野さんは、アルファベットを立体的に描くことを思いつきます。
「あ」『あいうえおの本』(1976)という作品の「あ」というひらがなの横には「あんぱん」と「あり」。周りにもアサガオやアヒルなど「あ」から始まる植物や動物の絵があしらわれています。
「さんすう」のコーナー。0から数が増えるにつれて家や木、動物の数も増えていき季節も色鮮やかに移ろいでいきます。「暮らしの中で法則を発見してほしい」という安野さんの思いが込められています。
ほかにも、水彩画と切り絵で光の国と影の国を表現しふたつの世界が並行して進む不思議な作品も。
「高知県高知市・鏡川」『週刊 司馬遼太郎7』(2010)。こちらは安野さんが約15年前に高知を訪れた際に描いた鏡川。橋や建物など細かい街並みを水彩画で表しています。
安野さんは亡くなるまで、好奇心と想像力の豊かさで独創的な作品を数多く生み出しました。
香南市から来た人:
「絵本では見られないような細かいところとか、実物を見ると違うなと思いました。大人としても考えさせられるような作品だなと思いました」
津和野町立 安野光雅美術館・福原京子学芸員:
「考える作品もたくさんあるので、じっくり見て考えて発見した喜びを見つけてほしい。先生の空想のふしぎな世界を楽しんでいただけたらと思います」
安野先生の“ふしぎな世界”にどっぷりつかることのできるこの展覧会は、高知県立美術館で9月7日まで開催されています。