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News- 高知のニュース

なぜ騙されるのか?急増する特殊詐欺「あしたもう一回考えよう」心理学者からの重要アドバイス

『722億円』、何の数字か分かりますか?とても大きな金額ですよね。実はこれは、去年(2024年)に警察が認知した、全国の特殊詐欺被害の総額です。手口が巧妙化していて被害額は過去最高となっています。

なぜ、だまされてしまうのでしょうか?心理学の専門家に話を聞きました。

明星大学・藤井靖教授:
「一見、非現実的な話ほど実はだまされやすい。日常ではあまり経験することのないような時間になると思うんですけど、それは人の感情を動かしてしまう。感情が動いてしまうと冷静にものごとを考えにくくなる」

明星大学の藤井靖教授は、心理学者の立場から、巧妙化する手口に警鐘を鳴らします。最近増えているのが警察官や公務員をかたる詐欺です。

警察をかたる男性(警察庁が公開した実際の特殊詐欺の動画より):
「ご本人さまにお間違いなかったですかね。私の方は大阪地検特捜部検事の石野と申します。証明できるものがカードのみとなりますのでご確認の方いただいてよろしいでしょうか」

SNSのビデオ通話などで、顔写真付きの偽の警察手帳や身分証明書を見せて被害者を信じ込ませます。

明星大学・藤井靖教授:
「心理学の用語で“アンコンシャスバイアス”という言葉がある。日本語でいうと“無意識の偏見”ということ。地方は『公務員』というのが安定した高収入の立派な職業という意識が強いですから、より信頼感が強くなって話も信頼できるというアンコンシャスバイアスが働きやすくなる」

他にも、「動画を見るだけで稼げる」と持ちかけて、気が付いたら逆にお金を振り込まされる手口も増えています。

川辺世里奈アナウンサー:
「どうして途中で気づかず、どんどん詐欺にハマっていってしまうのでしょうか」

明星大学・藤井靖教授:
「いわゆる“認知の逆転現象”が起きているんじゃないか」

最初は「報酬が得られるから、やってみませんか?」と被害者はお願いをされる側。しかし一度報酬をもらうと、今度は次の報酬を求めて被害者がお願いする側になり、詐欺師が優位になるといいます。

明星大学・藤井靖教授:
「優位に立った側は指示を相手に入れやすくなる。『登録料としてこれくらい必要です』とか『まずはこれくらい払ってもらうことによって報酬が振り込まれます』とか、そういう投げかけが通りやすくなっています」

川辺アナ:
「日頃から詐欺に引っかからないように、どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか?」

明星大学・藤井靖教授:
「ご家族とかご友人とか、大切な誰かに自分がやろうとしていることを話した時に、必ずそこには第三者の意見として他の方の見方が入りますから、そうすると未然に詐欺を防止しやすくなります。いったん時間を置いて『あしたもう一回考えてみよう』『いったん電話を切って、他のことやってその後もう一回考えてみよう』とか、そういうふうにしていただけるといいのでは」

高知県内の状況も深刻です。今年(2025年)に入ってきょう15日までに県警が認知している特殊詐欺は34件で、去年の2.6倍に。被害総額も1.8倍以上となり1億8900万円を超えています。

特にオレオレ詐欺が多く、中でも目立つのが警察官をかたる手口だということです。

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