南海トラフ地震の新たな被害想定《高知県内死者数4万6000人 負傷者9万9000人(前回の2倍)》
2025年4月1日(火) PM8時18分
南海トラフ地震の切迫感が高まる中、国はおよそ10年ぶりに「新たな被害想定」を公表しました。高知県内の死者数は前回の想定から3000人減って4万6000人となっています。
今後30年以内に80%程度の確率で発生するといわれる南海トラフ地震。前回の「防災基本計画」策定から10年あまりが経ち、政府は3月31日、これまでの防災対策や地形データの更新などを反映した新たな被害想定を公表しました。
最悪の場合、死者は全国で29万8000人に上る見込みで、前回の想定からわずか1割減にとどまっています。
このうち県内の死者は最大4万6000人で前回より3000人減少。一方、県内の負傷者数は9万9000人で前回の2倍に増えています。
県内で予想される最大震度は高知市や南国市など31市町村で震度7、馬路村・仁淀川町・越知町で震度6強。
津波の高さは黒潮町と土佐清水市が「最大34メートル」で前回と変わらず全国で最も高い想定です。
防災計画の作成や津波避難タワーの設置など地区をあげて防災活動を行ってきた黒潮町。
大西町長の受け止めは…
黒潮町・大西勝也町長:
「黒潮町に突きつけられた想定も、前回に引き続き、震度についても最大津波高についても最大値ですし、10年間の努力が数字的に必ずしも報われていない」
黒潮町は今後津波による浸水に備え高台に住宅地や道路をつくるなどインフラ整備を進めたいとしています。
このほか、今回はじめて「災害関連死」の想定が盛り込まれていて、その数は全国で最大5万2000人に上る見込みです。
この発表を受けて浜田知事は「想定死者数を限りなくゼロに近づけることを目指し、全庁を挙げて全力で取り組む」とコメントしています。
県は南海トラフ地震に向けた対策の実施や県民の意識向上などにより、2028年3月時点の想定死者数を3500人まで減らしたい考えです。
現在、県版の被害想定の見直しが行われていて、2026年3月に公表する予定です。