「自分の家に殺されないように」南海トラフに備え耐震化を 能登半島地震の教訓 高知では補助金申請が1.5倍に
2025年1月9日(木) PM4時12分 <PM4時15分 更新>
2024年1月1日午後4時10分、石川県能登半島で発生した最大震度7の大地震。災害関連死を含め504人が亡くなりました。(12月27日時点)
金沢大学 地球社会基盤学系・平松良浩教授
耐震性の低い古い家が倒壊の被害が大きかった。家の耐震性を高めた方が安全だということは皆さん理解されているけれども、自分がこの家に住んでもあと10年20年という所で耐震化が進まなかった。
輪島市は耐震基準を満たした家が2割弱しかなく、1万500棟のうち6割が半壊以上に。公費解体が必要な建物で工事が終了したのはわずか27%です。
輪島市の山本利治企画振興部長は「解体する時は所有者の申請も必要です。遠い親戚・家族の所に仮住まいしている方もいますので、その所在の情報が分からず、なかなか進まなかった」と話します。
輪島市では建物の解体が進まず新しい街を再建できないため、いまだ復興が進んでいません。
今後30年以内に70~80%の確率で発生すると言われている南海トラフ地震では、高知県では津波などにより4万2000人の死者が出るとされています。(県の想定)
津波から逃げ切るためにも、まずは家の倒壊で命を落とさないための耐震化が重要です。
県には耐震改修工事のための補助金制度があり、2023年度は半数の工事が10万円未満の自己負担で済んでいます。
2024年4月から11月末までの申請件数は前年度の同じ時期と比べて1.5倍になりました。
耐震診断士・立道和男さん
耐震されてない家は、10秒もたないんです。特に1階におられた方は、ほとんどが即死状態ですから。『10秒耐えられる家じゃなくて、避難グッズいりますか?避難所の勉強がいるんですか?』って話がわれわれの思いなんです。
筋交いや金属を取り付ける耐震に加え、制震装置を付けると、震度7の地震でも揺れを半分以上吸収できます。
複数回の地震に耐えることができ、“命を守る家”だけでなく“帰れる家”になるのです。
耐震工事した女性
地震そのものも怖いんですけど、命は助かったとしても、その後の生活やっぱりちゃんとできる方がいいなと思って
南海トラフ地震の危険が迫る中、高知大学の岡村客員教授は警鐘を鳴らします。
高知大学・岡村真客員教授(防災推進センター):
“もっともっと大規模な能登半島地震”が県下全部を襲ってしまう。能登は50秒しか揺れなかった。高知は3分間揺れ続ける。能登以上に壊れる家が増えていく。自分の家に殺されないこと、木造家屋とは凶器になるということを高知県の方もまずは最初に
理解していただきたい。