三宅香帆さん「ルーツは高知の読書環境」地元トークで明かす『ガラスの仮面』の思い出
2024年9月25日(水) PM7時51分 <PM7時58分 更新>
文芸評論家の三宅香帆さん(30)が9月21日、故郷・高知市の高知蔦屋書店でトークショーを開催しました。
三宅さん:
オーテピアというきれいな図書館もあって私の本も入れて下さって。めっちゃきれいなんですけど、私が高知にいる時にあってほしかった。なかったんですよ、私の頃は…
4月に出した「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(集英社新書)は17万部のベストセラー。7月に出版した「『好き』を言語化する技術」(ディスカヴァー携書)も6万部のスマッシュヒットを飛ばしています。
読者は普段本を読まない層にも広がっていて、トークショーに訪れた県内のファンは「(読書は)あんまりしない。けど三宅さんが書くと読める」「久しぶりに本を買おうかなと思えた本を書いた人が高知出身で、ちょっと運命的なものも感じた」と話していました。
三宅さんの母校、朝倉第二小学校は全国に先駆けて朝の読書タイムを導入するなど読書教育に力を入れていて、三宅さんも自分の原点は小学校にあると公言。新進気鋭の文芸評論家を生んだ高知はどんな所なのかとトークショーには集英社の担当編集者も駆け付けました。
三宅さん:
まんがミュージアム(ライブラリー)っていうのが「かるぽーと」にあって漫画がずらっとある。学芸(高校)のコーラス部でかるぽーとでコンクールとかがあるんですよ。コンクールで親を待つ間、『ガラスの仮面』を読むのが人生の楽しみでした
集英社の担当編集者はトークショーの中で「高知の読書環境が今のルーツになっているって、あながち誇大広告じゃない」と話していました。
三宅さんは名作小説の見どころ紹介やお悩み相談など様々なジャンルの本を通じて読書の楽しさを発信し続けています。
イベントには「三宅さんが紹介してくれる本をすごく読みたくなったので三宅さんが好きになりました」という母校・高知学芸中学の1年生も訪れていました。三宅さんは後輩にサインを渡しながら「楽しんで本を読んでくださいね。学芸の図書館は素晴らしいので」と話しかけていました。
文化庁が9月に発表した調査結果によりますと、月に1冊も本を読まない人の割合が5年前の47.3%から15ポイント以上も上昇し62.6%に。今や本を読まない人の方が多くなっていることが分かりました。
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で三宅さんは、すぐに成果が求められる競争社会で個人が消耗し読書ができなくなっているのではと分析。「全身全霊で働く」のではなく、仕事と趣味を両立させて自分らしい生き方をする「半身社会」を提唱しています。
三宅さんは「本を読むことって自分じゃない他人の声を聞くこと。日々生きていると『なんでこの人、こんなことするんだろう、こんなこと言うんだろう』と思う時もあるけど、ちょっと本とか漫画を読んでいると『この人ってあの登場人物に似ている』とか『こういうことって本に書いてあったな』とかいろんな世界への理解が深まる。そうなると自分も生きやすくなる」と話しています。
また、著書の中で“本を読むコツ”を紹介していて、「自分と趣味の合う読書アカウントをSNSでフォローする」「無理をしない。読みたくなったら読めばいい、休みたい時は休んで元気が出たら読みましょう」などと呼びかけています。
自分らしく楽しく“読書の秋”を楽しみたいですね。