“おらんくの酒蔵” 目指し再スタート 四万十町の老舗『文本酒造』が再建「次の世代に残す」【高知】
2023年3月30日(木) PM8時10分
文本酒造・杜氏 石川博之さん「こちらがバー『お酒やさん』」
記者「すごい、きれい!」
高知市から車でおよそ50分、四万十川の中流に位置する四万十町。
窪川地区の商店街の一角にあるのが、今年創業120周年を迎える老舗酒蔵「文本酒造」です。
5月1日「fumimoto brewery」としてリニューアルオープンを迎えます。
矢野愛優記者
「紺色で揃えたバーは落ち着いたおしゃれな雰囲気。天井の梁は創業当時のものがそのまま残されていて、レトロ感も楽しめるお酒を飲むのが楽しみです」
文本酒造は「桃太郎」をはじめ数多くの日本酒を送り出してきましたが2020年3月、コロナ禍で商品が売れず酒造りを停止。
スタッフのほとんどが蔵を去り廃業寸前だったところ、四万十町の町おこしに関わっていた高知市の阿部達也さんが事業の買い取りを申し込みました。
文本酒造 阿部達也専務
「ただでさえにぎわいがなくなってきている中で、最後の老舗の蔵が無くなればますます人通りも無くなって寂しい町になってしまうのでなんとか残せないかなと」
再建の切り札として茨城で長年、杜氏をしていた石川博之さんをスカウト。
文本酒造・杜氏 石川博之さん
「一から再スタートを切る新規立ち上げにほぼ近いような形なので。そんな機会滅多にないので、杜氏としてそこに携われるというのは」
去年7月から10人体制の大規模な「再建」が始まりました。
木が生い茂っていた中庭をきれいに整備し、酒タンクや精米機などほぼ全ての機械を新たに導入。
倉庫はスタッフ総出で張替えや塗装を行い、県産品が購入できる「土産物コーナー」に。
外壁はイメージカラーの「濃紺」に塗り替え、酒や軽食・スイーツなどが楽しめるバーを新設しました。
ほかにもWi-Fiやプリンターが自由に使えるフリースペースを整備。
蔵でありながら地域の「憩いの場」を目指します。
3月21日には3年ぶりに酒造りを再開し、販売に向け急ピッチで準備を開始。
地元のブランド米「にこまる」を使った新日本酒ブランド「SHIMANTO」を立ち上げます。
現在、純米大吟醸のみで販売価格は未定です。
文本酒造・杜氏 石川博之さん
「酒蔵というのはその町の文化、歴史みたいなものだと思うんですよね。それをやっぱり無くしてしまうのは本当にもったいないし」
「おらが町の酒蔵、うちの町には文本酒造『SHIMANTO』っていうお酒があるよって町外に言えるような、そんなお酒を作りたいなと。頑張っていかないとなと思います、次の世代に残すというか」
四万十町の「fumimoto brewery」の店舗とバーは、5月1日にグランドオープンします。
店舗とバーは水曜から日曜・祝日の営業で、ゴールデンウィーク中は毎日オープンしています。
純米大吟醸「SHIMANTO」は5月1日から予約の受付を開始するほか、店頭でも購入ができます。