土佐中・高校で村木厚子さん講演『誰かのためには強い』自身の壮絶な経験から伝えたい言葉【高知】
2020年11月18日(水) PM9時20分
高知市出身で元厚生労働省事務次官の村木厚子さんが母校で講演を行いました。
無実の罪で逮捕・勾留された自身の壮絶な経験から伝えたかったこととは。
(村木厚子さん)
「49回生、もう卒業して50年近くが経とうとしています」
きょう(18日)創立100周年を迎えた高知市の土佐中・高等学校で壇上に上がったのは、卒業生の村木厚子さんです。
村木さんは1955年生まれの64歳。
内気さを克服しようと、自由な校風の土佐中高に進学。
高知大学卒業後はおよそ37年間国家公務員として勤務し、厚生労働省事務次官など重要ポストを歴任しました。
現在は津田塾大学の客員教授や、生きづらさを抱える若い女性を支援する活動などを行っています。
村木さんはおよそ1600人の生徒を前に「支えること、支えられること」をテーマに講演を行いました。
悲劇が襲ったのは2009年。
厚生労働省の課長を務めていたとき郵便不正事件に関わったとして、無実にも関わらす逮捕されおよそ5カ月にわたり勾留されました。
(村木厚子さん)
「全部、弁護士さんや家族や職場の人に助けてもらわないと何もできなくなりました。一晩にして支えていると思ってた自分が支えられる側になった。これは私にとっては本当にいい勉強でした」
一貫して無罪を主張し続けていた村木さんですが、覆らない現実に自信を失いそうになったといいます。
(村木厚子さん)
「そしたら弁護士さんがね、アクリル板の向こうからこんな紙をね、ピタっと押し当てて私に見せてくれました。真ん中に『真実を貫け』って書いてあった。その下に小さい字でいっぱい職場の人や友達の名前が書いてありました」
「こんなに信じてくれる人がいるんだ。すごいうれしかった。こういう友人や、家族の支えっていうのがものすごく大きかった」
多くの人に支えられ逮捕から1年3ヵ月後、村木さんの無実が明らかになったのです。
村木さんは自身の経験から、生徒たちにこんな言葉を贈りました。
(村木厚子さん)
「人は支えられるだけでは元気になれない。その人も誰かのために何かができるようになったときに、初めて人は元気になります。」
「みなさんもすっごく辛い時があるかもしれない。でも辛い時に自分はそれでもまだ誰かのために何かできるって思えたら、絶対大丈夫です。『誰かのためには強い』って覚えててほしいと思います」
村木さんの話を聞いた生徒たちは。
(土佐高校2年生)
「一度中学受験したんですけどその時失敗をしたことがあったので、その経験もいい経験だったのかなって受け止めました」
「やっぱりくじけることもあると思うので、そういう時に村木さんの言葉を思い出して
頑張っていきたいと思います」
生徒たちは村木さんの真っすぐな言葉を、それぞれの心に刻んでいました。