【独自】造船会社が元社員2人に9600万円の損害賠償請求 高知県警が業務上横領の疑いで捜査
2025年3月21日(金) PM7時35分
高知市の造船会社の金を着服したとして高知県警が元社員を業務上横領の疑いで捜査していることが分かりました。会社は元社員2人に対し9600万円の損害賠償を求めています。
高知市仁井田の造船会社「大永造船」です。会社の金を着服したとして元社員2人に対し、弁護士費用を含め9600万円の損害賠償を求め去年9月、提訴しました。
訴状によりますと着服したのは高知市万々に住む経理を担当していた53歳の男性と、高知市種崎に住む執行役員で現場責任者だった73歳の男性です。
大永造船によりますと2人は共謀し、2007年から15年間にわたり大きく3つの手口で着服を繰り返していました。こちらが実際に改ざんされた請求書です。
1.架空の業者名で請求書をつくり、現金小切手を振り出す。
2.架空の貸付金を計上して不正に経理処理する。
3.元執行役員の自宅の改修工事の代金を仕事の経費として偽装する。
という手口です。2人の着服による会社の損害はおよそ8700万円に上ります。
発覚したきっかけは経理担当の男性がおととし7月から体調不良を理由に長期間、休職したことです。その間、経理を代行した社員が不正に気づき大永造船はおととし11月、被害届を出しました。県警は業務上横領の疑いで捜査しています。
大永造船は着服により会社に損害を与えたとして去年5月2人を懲戒解雇しました。
大永造船の榊原 英之社長は社員による長年の着服に気づけなかった原因として「業者との取引を仕切る執行役員の権限が大きかったこと、経理担当を信用し1人に任せてしまったこと」と話しました。
その上で、再発防止に向け「税理士を含む4人で経理を担当しコンプライアンスを徹底する。捜査には全面的に協力する」としています。
損害賠償で訴えられている元社員2人の代理人弁護士にも取材しました。
元経理担当の代理人は「横領の一部は認めるが横領した金額については争う」とコメント。
一方、元執行役員の代理人は「横領はしていない。裁判で全面的に争っている」と主張しています。