偽ロレックス私はこうして見破った「今回が一番精巧だった」 大原質店インタビュー【高知】
2025年2月20日(木) PM8時06分 <3月13日 PM8時54分 更新>
《2月21日 午後0時30分 *追記》
匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」による偽のロレックス売却事件。被害は西日本23店舗、3700万円以上に上ります。被害が拡大した原因は偽物の精巧さにあります。
精巧につくられた偽ロレックスをいち早く見抜いた質店の社長がいます。インタビューで初めて明かした3つの違いとはー
鑑定歴40年 大原質店・大原豊社長:
「違和感が発生した。これも違うなーと。これは偽物だと判断した」
鑑定のプロが見抜いた3つの違いとは?
創業59年を迎える高知市の大原質店です。2024年7月、30代の男が偽のロレックスを持ち込んできました。
大原豊社長:
「客が駐車場に入ってきてなかなか店内に入ってこない。防犯カメラを見ると携帯で電話をしている」
男が買い取りを求めたのは新モデルの「グリーンサブマリーナ」。本物で状態が良ければ230万円ほどで買い取ることも。
大原豊社長:
「ぱっと見たら全然偽物と分からないほどの物。客に『どこで買ったか?』と聞いたが『もらいました』。そこで300万円も400万円もする物をもらうということ自体があまりないので」
大原社長は腕時計を顕微鏡で確認。すると、3つの違和感を覚えました。
【違和感1:日付のにじみ】
注目したのはこちらの日付です。
大原豊社長:
「偽物は筆で書いたようににじみがまわりに出ていた。おかしいなと思いつつ」
こちらが顕微鏡で拡大した本物のロレックスの日付です。比べると、偽物は文字がにじんでいることが分かります。
【違和感2:レーザー刻印】
ロレックスのガラスには肉眼では見えない王冠がこの部分に刻印されています。それは、顕微鏡でピントを合わせると浮かび上がってきます。
大原豊社長:
「ガラスの中にうまいこと入れている。レーザー刻印、これがロレックスの技術」
しかし、高度な技術を要するレーザー刻印が偽物にもあったのです。それでも、大原社長は違いを見抜きました。
大原豊社長:
「王冠の左から2番目の上の部分が偽物の方が薄くなっている」
【違和感3:保証書の日付】
さらに、保証書も偽造されていました。
大原豊社長:
「(国内の正規販売店で)ロレックスで買った場合は日付が印字される。持ち込まれたものは細いマジックで日付を書いていた」
《2月21日 午後0時30分 追記》
*日本ロレックス社によりますと、海外店で買った場合は手書きもあるとのことです。
Q.保証書もつける巧妙さは?
「今までにないパターン」
偽物と確信した大原社長は男にこう伝えました。
大原豊社長:
「これは買い取りできない品物です」
しかし、その後も大原質店には違う男4人がそれぞれ異なる偽ロレックスを持ち込んできました。大原社長は全て偽物と見抜き警察に通報しました。
大原豊社長:
「偽物のロレックスの持ち込みは何十年も前からあって、精度が上がっていると思ってみてきたが今回が今までで一番精巧」
偽ロレックスによる被害は西日本23店舗で3700万円以上に。うち高知県内は7店舗で1200万円に上ります。被害が拡大した背景には店に対する犯人の揺さぶりがありました。
大原豊社長:
「犯人もせかす、早くしてくれと。『早くしてください』と言うことは細かいところを見ないようにさせるために言っている。早くしてくださいと言われて早くするとミスが起こる」
大原社長は今回の事件による被害は氷山の一角として警鐘を鳴らします。
大原豊社長:
「店頭にもし並べて売っていたら大ごと。こういう犯罪は絶対にしないでほしい。事件の全容を解明してほしい」
事件の全容がいまだに見えない中で解明が期待されるのが精巧な偽ロレックスの入手ルートです。しかし、仮に海外で作られていた場合、捜査が非常に困難。だから、偽ロレックスの供給先を断ち切るのは難しい。さらに偽ロレックスを作る技術も年々上がっています。
だから再発防止には
1. 鑑定のプロを育成する研修制度
2. 偽物が持ち込まれた際、その情報を質屋、買取店系列の垣根を越えて全国で業界全体で共有する
この2つが鍵になると思います。