クラシックバレエに本腰を入れるため、親元を離れ埼玉から高知に移住してきた小学6年生を追いました。その目には世界が見えています。

高知市・一宮小学校。休み時間に、けん玉に夢中になっている6年生男子たちがいます。この輪の中にいる福間悠陽くんは、2学期に埼玉から転校してきたばかりです。体育の授業では軽々と縄跳びをし…ストレッチでは足が柔らかく伸びています。

福間くんのクラスメイト
「男子でそんな体が柔らかい人を知らんかったき驚いた」

そんな福間くんが転校してきた理由は？

福間悠陽くん
「バレエを毎日やっていきたいなと思ったから高知に移住してきました」

そう！クラシックバレエを習うために、親元を離れ高知の祖母の家に引っ越してきた、まさに「バレエ移住」なんです。

学校が終わるとすぐにレッスンに。週に6日、多い時には7日はスタジオに通い、バレエ漬けの日々を送っています。

移住後の2021年秋、挑戦した国際的なバレエコンクールの日本予選で快挙を成し遂げました。ジュニア男子部門の上位12位に入選！日本の代表として、今年（2022年）4月にアメリカで行われる本選に進むことになりました。高知から世界への足掛かりをつかんだのです。

でも、なぜ「高知」？　目的は、母の友人で高知市でバレエスタジオを開く上岡真佐子さんに習うためでした。これまでにも多くのコンクール上位入賞者を輩出してきた上岡さんは、福間くんがバレエを始めるきっかけを作りました。

マサコ・バレエ・ワークス 上岡真佐子さん
「普段遊んでいる時がキレッキレで、それをバレエの目線で見てしまうので『バレエやればいいのに』という話になって勧めた感じ。直感です」

145センチと小柄ながらも頭身のバランスがいい事。そしてバレエには欠かせない「外向きに開く足」などなど、ダンサーとしての素質を見抜いての事でした。

福間くんは小学3年まで空手に打ち込み、大会でも準優勝するほどの腕前でしたが、4年生になる直前にきっぱりやめバレエに転向。3年ほどの短期間で、先生も驚く急成長を見せました。

マサコ・バレエ・ワークス 上岡真佐子さん
「本人がすごく（バレエが）好きなので、本人のやる気といろんなタイミングが揃った時はこんなに早く上達するんだなぁというのは私もすごく実感。いい意味で期待を裏切られている」

体を柔らかくするため、こんな努力もありました。

福間悠陽くん
「最初は（開脚は）このぐらい（少し）しかいかなかったけど、今だったらこう（180度に開く）。お風呂入った後にお母さんに「ストレッチしなさい」と言われて、その時に「罰ゲーム」って言われて、骨がゴリゴリゴリっていいながら開いてもらってそれで多分柔らかくなった。めちゃくちゃ痛かった」

これを聞いて反論したのが埼玉にいる母・沙甫さんです。

福間くんの母・沙甫さん
「そんなに無理やりはやっていません（笑）。わが子なので容赦はないですけど」

今はテレビ電話などで福間くんと毎日やりとりをしています。実は沙甫さんもバレエ教師。なぜ自分で教えなかったのでしょうか。

福間くんの母・沙甫さん
「私も一時期こちらにいる時は教えていたんですけど、やっぱり親子関係と「生徒と先生」というのもすごく難しくって。お互いに感情がぶつかり合うというか、結構バトルもしていたので」

このほか、沙甫さんの教室は貸しスタジオを利用しているため、時間を気にせず心ゆくまで練習できないのも理由でした。

福間くんは夏休みなど長期休暇のたびに高知を訪れ、母も信頼を置く上岡さんにバレエを習ってきました。コロナ禍でも埼玉からオンラインでレッスンを受けていましたが、本格的にプロを目指そうと親元を離れる事を決心しました。

福間くんの母・沙甫さん
「こんなに一つのことにのめりこめるのはなかなかない。とっても嬉しい」

当の福間くんはまだ小学生。寂しくないか聞いてみると。

福間悠陽くん
「自分的には、寂しいよりもバレエで生きていくためには必要なこと。最終は独立して海外で住んでいきたいから、一人で生きていく第一歩として頑張っています」

学校の友達もそんな覚悟をもった福間君を応援しています。

クラスメイト
「練習とかきついかもしれないけど、諦めずに頑張ってほしい」

クラスメイト
「すごい才能持っているから外国で活躍してほしい」

今、福間くんは4月のアメリカ本選に向け、コンクールの審査員から評価が高かった回転技など踊りの精度を高めています。

将来性が見込まれれば、教育システムが確立された海外のバレエ学校の奨学金が与えられるため、本気モード全開です。

福間悠陽くん
「やっぱり楽しいというのもあるし、自分がやるって決心した事は最後までやりたくなるタイプだから」

将来の夢は本場ロシアで活躍するバレエダンサー。

福間悠陽くん「僕は世界に羽ばたきます！」