小学校で導入「チーム担任制」の現場に密着 若手教師を救う複数担任のメリット【高知】
2026年5月20日(水) PM7時27分
2026年4月から、試験的に高知県内10の小学校で「チーム担任制」が始まりました。いま小学校の学級運営は1つのクラスに1人の担任という「学級担任制」ですが、「チーム担任制」はクラスの数より1人多く担任を配置し、複数の担任が全てのクラスの運営を行います。
「学級担任制」は指導内容に一貫性があり、学習面のつまづきを把握しやすいなどのメリットがある一方、力量によって学級運営の差が生じやすく、特に、若手教師の負担が問題になっています。
そこで、県教育委員会が導入したのが「チーム担任制」です。学年が2クラスなら、3人の先生が交代で担任となり、担任でない時は学年全体のフォロー役に回ります。小中連携を見据えて中学校の体育教師が配置されています。
さんさんテレビは1年間の試験導入が始まった学校に密着。先生たちの奮闘を取材しました。
4月10日、高知市の一宮小学校で新しい先生を紹介する新任式が行われました。全校児童380人。19人の学級担任のうち、半数以上の10人が20代の若手です。
県内の小学校ではここ数年、定年による大量退職などの影響で若手教師が増え、2555人の内、20代・30代の若手が半数を占めています。そんな中、チーム担任制の導入を決めたのが一宮小学校の岡本校長です。
高知市立一宮小学校・岡本政則 校長:
「学生を卒業してすぐ学校現場に行ったときに、保護者も『先生でしょ』って求められてるものも高いですから、昔のような(時間の)ゆとりがないというか。授業ももちろん大事やけど授業以外の、子どもたちを包み込むようなそういう関わりの仕方も、学ぶことが大事と思うんです」
新しい学級運営に挑戦するのは3人。学年主任の永野先生はまだ27歳ですが、6年生の担任は3度目。國光先生は6年の担任こそ初めてですが、教師歴20年以上のベテランです。
そして、三里中学校から異動してきたのが松岡先生。バスケットで国体にも出たバリバリの体育教師です。ベテランと中堅、若手が組んで2クラスを3人で担当します。
6年の学年主任・永野雄也 先生:
「2人よりは3人いた方が(業務)分担のこともそうですし、自分が分からない子どもたちの良さとか変化も共有できるんじゃないかなと考えています」
6年の担任・國光真未 先生:
「頼もしいです。私にはできないこともパンパン速くやってくださるし、タブレットとかもすごく堪能なので松岡先生のやり方を教えてもらいながらできるのはすごく得だなと思ってます」
担任が3人に。果たして、子どもたちの反応は―
6年生・女子:
「担任が3人いるって、不安もあるけどちょっと楽しみ。入れ替わりながら授業するのが楽しみ」
6年の担任・松岡治宏 先生:
「一番は子どもたちが、安心して学校生活を送るっていうとこだと思うので、そうなるために3人で協力し合いながら、いい方向に向かっていけるようにしていきたいと思います」
一宮小学校のチーム担任制は、1組と2組、学年全体を見る担当があり、3人が1週間ごとに交代していきます。
ある日の朝の会では―
6年の担任・永野雄也 先生:
「例えば友達同士でサッカーして遊ぼうぜってなったときに、持ってくものがあるよね。これがあるならこれが必要やなとか、そういうことも先生とか家の人に言われなくても、少しずつできるようになっていってもらいたいなと思います」
なぜ担任が複数なのか。理由の一つが業務の多さです。
小学校の担任は朝の会から始まって、授業だけでなく、給食指導から帰りの会まで学級に張り付きです。休み時間や給食の合間も連絡帳などをチェックする、まさに分刻みのスケジュール。
放課後は授業の準備だけでなく、時には子どもの悩み相談や保護者の対応もあり、経験の少ない若手が行き詰まるケースがあると言います。
6年の担任・永野雄也 先生:
「先生ってすごい責任感が強い方々も多いと思うので、やっぱり自分1人でなんとかしなきゃいけないみたいな気持ちになっちゃうっていうところで、自分もそういった失敗をした経験もあるんですけど」
チーム担任制の目的の一つが担任の負担軽減。中学から異動してきた松岡先生は、最初の1カ月はフォロー役に徹して2人を手助けしながら子どもたちとの関係を深めてきました。
6年の担任・松岡治宏 先生:
「すごい元気いっぱいで、日々パワーを吸い取られてます。面白いですけど、かわいらしいですけど。授業もたまにやったりしますけど、どうやって伝えようかなと考えてやってます」
6年の担任・永野雄也 先生:
「迷惑かけてないですかね。ほんとにいろいろ今日みたいに教室に入ってくださったりとか、この間、給食準備中に理科の実験の準備があったけど、自分が外へ付いていってたんですけど、その時にも“ちょっとすいません、お願いします”って。なんかあったときにすぐお願いできる体制があるっていうのはすごく、まだ1カ月たってないですけど、そういう面でメリットがあるかなと思ってます」
ある日の給食ではー
男子児童:「給食食べて、給食(ダジャレ)」
永野先生:「撮ってもろうたら?」
男子児童:「ダジャレ採点してもらってるんですよ、時々」
小学生にとって一番身近で頼れる存在が担任の先生です。男性児童が松岡先生に部活の相談をする場面も―
松岡先生:
「3年間、バスケ頑張りました、ってことが(内申)に書ける」
男子児童:
「へ~、それってさ、受験する時とかにさ…」
松岡先生:
「ちょっとプラス、自分が頑張ってきたことを書きやすい部活しよったら。帰宅部やきって別に頑張ってないわけじゃないけど頑張ったエピソードが1つ増える。部活で学んだことを書くみたいなのもある。やらんよりは、先生絶対やった方がいいと思う。バスケやれよ、バスケ、笑」
男子児童:
「(中学で)部活しなかったら成績が下がるっていう話になって聞いてみました。部活は入った方がいいって分かりました」
男子児童:
Q松岡先生との時間は
「うれしい。教室に結構長い時間おるき話せるし」
チーム担任制によって子どもたちが頼れる先生を1人ではなく複数にしたい。そのために大切なのが情報の共有です。
國光先生:
「私がバタバタしてる中気づいてないところで、大丈夫ですか泣きゆうけど、どうしましたって(松岡先生が)気づいてくれて」
3人は、週に1回集まって次の週の時間割や子どもたちに変わったことがなかったか話し合っています。
永野先生:
「特に女の子たちは、男の先生には言いづらいことも國光先生に伝えて、國光先生はキャッチしてくださって、共有できるようなことも出てくるんじゃないかなって」
國光先生:
「家庭と一緒で、お父さん・お母さんの役割で1人が怒ったら誰かがケアするっていうのは多分できていくんじゃないか。そこはチーム担任制のいいところ。“さっきは先生、こういうつもりでやったがよえ”とかって」
5月11日、チーム担任制が始まって1カ月。フォロー役に徹していた松岡先生の初担任の日です。
松岡先生:
Qきのう緊張しなかった
「ちょっとしましたね、何しゃべろうかなって。子どもに聞きながらやろうかなって感じです」
この日、6年生は特別支援学級の子どもたちと海をテーマにした遊び場で交流しました。
支援学級の女子:
Q楽しいですか
「楽しい!」
松岡先生もー
松岡先生:
「いや~楽しんでますね。僕も滑りましたけど、なかなか楽しかったです。マスクの子とかが(支援学級の子と)ずっと一緒でお世話するんやなって。教室で座ってるときとは違う顔が見られるのはいいなと思います」
1人より複数で。先生の働き方を改善することで、子どもたちがより安心して過ごせる学級をつくりたい。3人の先生は協力し合いながら子どもたちと向き合っています。
松岡先生:
「自分の色というか永野先生らしさ、國光先生らしさ、自分らしさも出すことで、子どもたちも、いろんなことがあるんだなっていうのを感じ取ってそこでまた成長できると思うので、そんなふうに一番は楽しくやっていけたらなと思います」
担任が3人で良かったと思える卒業式を目指して。先生たちの奮闘は始まったばかりです。










