e-Tax詐欺で初公判 リクルーター役の男(44)に懲役3年を求刑 過去数年にわたる犯行の可能性
2025年7月24日(木) PM7時10分
e-Tax詐欺事件で24日、初めての裁判が開かれました。この事件は、トクリュウによって過去数年にわたり犯行が行われていた可能性が出てきました。検察は「納税制度の財政基盤を揺るがしかねない」と指摘。「リクルーター」役の男に懲役3年を求刑しました。
東京の飲食店従業員・須田直也被告(44)は、氏名不詳の2人と共謀し、e-Taxを使ってウソの所得税を申告し東京の税務署から286万円をだまし取った詐欺の罪に問われています。
24日の初公判で、須田被告は起訴内容を認めた上で氏名不詳の共謀者の1人はトクリュウの上位者「小笠原被告である」と話しました。
被告人質問では須田被告が詐欺に関わった経緯が明らかに。東京のキャバクラで働いていた須田被告は、ギャンブルで500万円の借金を抱えていました。2024年、もうかる話はないかと知人に聞いたところ、氏名不詳のAから電話がかかってきました。
(A氏の電話)
「確定申告で90万円から100万円の収入が入る。私たちは過去数年この案件を行っていて、100人が申請して5人から10人は捕まる」
須田被告は違法性を認識した上で、Aに自分の所得税の確定申告を依頼。Aがe-Taxを使って税務署にウソの申告をし、令和5年分の所得税の還付金99万円を自分の口座に振り込ませました。
その後も金に困っていると、仕事場の知人の紹介で知り合った小笠原被告からe-Tax詐欺をもちかけられます。須田被告はリクルーターとしてe-Taxに必要なIDとパスワードを取得させる闇バイトを集めますがうまくいきません。
結局、自分のIDとパスワードを使ってウソの所得税の申告を小笠原被告に依頼。東京の税務署から令和3年と4年分の還付金187万円を振り込ませ、うち70万円を手数料として小笠原被告に渡しました。
検察は「数名が役割分担した組織的で職業的犯行であり、模倣性が高く、納税制度において国家の財政基盤を揺るがしかねない」と指摘。懲役3年を求刑しました。
弁護側は「詐欺と認識していたが内容や仕組みそのものを理解しておらず、リクルート活動も成功していない」として執行猶予付きの判決を求めました。
判決は9月4日に言い渡されます。
国税庁は今回の事案を受け、不正還付の効果的な防止や早期的な検知など全体的な見直しを行っていくとしています。今後についても厳格な審査を行い、警察と連携し不正還付の防止に努めていくとコメントしています。