「け伸び受け止めてくれる教師なし」「5分以上溺れていた可能性も」高知市プール事故検証委報告
2025年3月31日(月) PM7時34分 <PM8時00分 更新>
長浜小の児童が水泳の授業中に亡くなったことを受けて、立ち上がった検証委員会の報告書が公表されました。事故の原因は教師が被害児童の位置を把握せず泳がせたことと指摘しています。
去年7月長浜小に通う4年生の松本凰汰さん(当時9歳)が水深がより深い南海中学校のプールで行った水泳の授業中に溺れて亡くなりました。
市の教育委員会は第三者による検証委員会を8回にわたって開催。3月31日中内功委員長が高知市の永野隆史教育長に事故原因や再発防止策などを盛り込んだ報告書を提出しました。
報告書は学校関係者など28人に37回のヒアリングを行い、事故原因や再発防止策について分析していて9編、331ページに及んでいます。
永野隆史教育長:
「非常に重たく受け止めております。しっかり私ども読み込んでこれからの子供達の授業に生かしてまいりたいと思います」
そして午後、検証委員会は記者会見を開き報告書についての説明を行いました。
プール事故検証委員会・中内功委員長:
「凰汰さん確かに体は小さかったんですが、とても明るくて友達も多くて、健康で運動も大好きで水に入るのもとても好きなお子さんだった」
事故の原因は…
プール事故検証委員会・中内功委員長:
「事故の直接の原因は2組の担任が凰汰さんの位置関係を全く把握せず失敗したけ伸びバタ足を行わせたこと。1組担任がチャレンジグループを教頭に任せたあとにすみやかに基礎グループに参加しなかったこと重大な原因だと認定」
プールの水深は最も浅い所でも凰汰さんの身長より深く、「特に注意深く見守らなければならない児童の一人だった」にも関わらず、指導を行った教師が授業中に凰汰さんがどこにいるかを把握せずに泳がせたことが直接で最も重大な原因と結論づけました。
また当日、プールの監視を行った教頭と教師2人の役割分担を決めておらず凰汰さんを含む泳ぎが苦手なグループを1人で指導していたなど監視体制が不十分であった点も指摘しています。
プール事故検証委員会・中内功委員長:
「(監視)人数的に今回3人前提にしても、役割分担であったり、移動がすみやかにできていれば事故は防げた可能性が高い」
南海中学校で4年生の1回目の水泳授業が行われたのは2024年6月21日でした。
中内功委員長:
「第一回の4年生の水泳授業の際に、凰汰さん含む3名の児童が溺れかけて救いあげられるという事実が発生。しかしながら、これに関する保護者への連絡はなく、その後も本件当日にいたるまで長浜小学校においては水深に対する対策は何ら講じられなかった」
事故当日の状況は、2024年7月5日、凰汰さんは事故の直前、最も深い東側から2番目の位置にいましたが、発見されたのは東西の真ん中付近の水中でした。
け伸びを行ったものの目の前に受け止めてくれる教師がいなかったことから足が底につかず息継ぎをすることができず溺れたと考えられると分析しています。
凰汰さんは水中で3分ないし4分以上という数分間にわたりプール内で溺れていました。委員長は5分以上溺れていた可能性がかなり高いと話しました。
そもそも、なぜ小学生が中学校のプールで授業を受けることになったのか…
南海中プール使用の経緯
2024年6月プール開きの直前、長浜小のろ過装置が故障し、使用できないことが判明、長浜小の中村校長は浦戸小と南海中のプールを借りて授業を行うことを検討。
南海中学校に深さを測りに行った際、南海中の校長から「水位を下げようか」という提案があったにも関わらず中村校長が断っていたことも明らかになりました。
4年の担任からは中村校長に「中学校のプールでの水泳授業は厳しいのではないか」意見があったといいます。
再発防止策としては余裕を持った時期に水泳授業の実施に向けた給水等の準備を行うこと、児童の身長や技能レベルに応じて適切な水深を提供すること、授業実施者と監視者の役割は分けて行うことなどが好ましいことなどが挙げられています。
報告書の完成を受け中内委員長は…
中内功委員長:
「やることはかなりやれたかなと思います。二度と起きてほしくないので本当に命に直結するっていうのを刻みこんでほしいっていうのが本音です」