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News- 高知のニュース

《相続した空き家を1日1組限定の宿に》新しいカタチが誕生「朔 海街さんぽ道」【高知 奈半利町】

高齢化に伴い、県内でも増え続ける空き家は深刻な社会問題となっています。そんな空き家を利活用した新しいカタチが誕生しました。

奈半利町の名瀑・琵琶ケ滝は夏の荒々しさとは対照的に静かに水を落としています。野山でも小さな春の芽が生まれ始めた中で、新たなスタートを切った所が。

街道沿いにある築29年の空き家が「新月」を意味する”朔”という名の宿泊施設に生まれ変わりました。入口ののれんをくぐると立派なひな飾りがお出迎え。常駐するスタッフを置かない1日1組限定の貸し切り宿で、平屋建ての広い屋内は和室と洋室あわせて5つの部屋があります。

お遍路を回る海外の観光客も意識してベッドルームも完備。モダンな洋室とは対照的に和室は畳敷きの落ち着いた雰囲気です。さらに上を見ると部屋を囲む見事な木彫り装飾の欄間が。細かく彫り上げられた松の木や城が立体的に浮かび上がります。

室内を案内するのはこの宿のオーナー・小川あずささん。もともとこの家の持ち主だった叔父が亡くなり2024年7月に空き家を相続しました。

「朔 海街さんぽ道」オーナー小川あずささん:
「(叔父は)この家がすごく大好きで、一生懸命つくり上げてきたので、やっぱり素敵な形で皆さんに見ていただいたらいいなと思いました」

大阪に拠点を持つ小川さんは幼いころから何度も叔父の家を訪れ、自然豊かな奈半利の魅力を肌で感じていました。当初はこの家を「貸す」あるいは「売る」という選択もありましたが、これまで叔父が大切に守ってきた家を失くしてしまうのはもったいないと考え、宿にする道を選んだのです。

小川さんに協力するのは地元・高知の空き家問題に取り組む森田健太郎さん。空き家を利活用して収益化するモデルを提案しています。

きんつぎ代表森田健太郎さん:
「(県内では)すごい数が空き家になっていまして、これはやはりローカルの問題でもあるので、高知県に住むローカルの事業主がなんとかしないといけないなという思いで取り組んでおります」

総務省によると高知県にはおよそ5万軒の空き家があり、空き家率は鹿児島県に次いで全国で2番目の多さとなっています。市町村で空き家バンクをつくるなど対応していますが、リフォームや維持費などが負担になるケースが多くあるのが現状です。

今回宿泊施設になったことで、奈半利町の魅力を県の内外に発信するだけでなく、清掃スタッフなどの雇用を生み出しており、新たな空き家のモデルケースとしても期待されます。

オーナー・小川あずささん:
「こちらに来て自分の日常から少し抜け出してリラックスしていただいて、美味しいものを食べてきれいな海を見て、またリスタート、都会に戻っていただくことができたらいいなっていうので「リトリート」をテーマにこれから進めていけたらなと思っています。」

オープンは3月10日。利用人数は最大7人で一棟一日45000円程度を予定しており、予約サイトで受け付けを開始しています。

立派なランマのある家でしたが、このような家が朽ちて失われるのはもっていないですから、いろいろな形で古い家の再生の道が開かれるといいですね。地元の人たちからは奈半利町に故郷を持つ人が「帰省した時に家族でゆっくり過ごせる場所ができて嬉しい」と歓迎の声があがっているということで、今後も色々な活用が期待されています。

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