災害時に活躍!海自輸送艦「くにさき」内部を独自取材
2025年1月22日(水) PM8時00分
南海トラフ地震を想定した大規模な訓練「南海レスキュー」に参加しているのが海上自衛隊の輸送艦「くにさき」です。今回、この輸送艦の内部を田村アナウンサーが泊まりがけで取材してきました。
空からも!海からも!
「上陸ON」
南海トラフ地震を想定した大規模な訓練「南海レスキュー」。陸路での救助活動が困難となった能登半島地震の教訓を踏まえ、孤立地域での初動対応に焦点をあてています。そこで役に立つのが…
ホーバークラフトの一種、通称「LCAC」です。大量の空気を海面に噴出させながら浮上して進み港が使えなくても上陸できます。このLCACの拠点となっているのが輸送艦くにさきです。
田村優介アナウンサー:
「輸送艦くにさきにこれから乗艦します。行ってまいります」
東洋町の生見海岸から沖合を航行している「くにさき」へLCACで向かいます。
田村優介アナウンサー:
「まもなく発車です。すごい浮いています」
「そして今、海へと入りました。なんか不思議な感覚です」
「時折大きく上下に揺れていますが、思った以上にそこまで激しい揺れではありません」
そして「くにさき」に近づくと
田村優介アナウンサー:
「目の前にくにさきが見えてきました。とても大きいです」
輸送艦「くにさき」は海上自衛隊が保有する艦船の1つ。全長178メートルの135人乗り。硫黄島や父島に駐留する自衛隊員への物資の輸送のほか、災害派遣などで活躍をしています。2024年に発生した能登半島地震では同型の輸送艦が道路を復旧させる重機や支援物資を運びました。
午後5時-
海岸を出発して待機時間も含めおよそ2時間。なんとLCACに乗ったまま乗艦します。
艦内でこの時、食堂で隊員たちが食事をとっていました。料理は全て艦内で調理されたもの。この日の献立は魚のムニエルにミートソースのスパゲティ、ロールキャベツのカレー煮など。
田村優介アナウンサー:
「いただきます。とても船の上で作られたとは思えないぐらいのクオリティです。これで体力もつきますね」
午後9時半ー
ここはLCACを2隻収容している場所。くにさきの後ろ、この部分です。
隊員が念入りに整備をしていました。
LCAC1隻の全長は28メートル。1隻で最大およそ200人を輸送することも可能です。このほか隊員や被災者の治療で使われる医務室に、長いときには任務が半年にも及ぶことから歯科診療室まで備えているんです。
くにさきの中には高知出身の隊員が。宿毛市出身の北小路佳史さんです。高校卒業後、自衛隊に入隊。無線の設定などを行う通信員です。
海上自衛隊輸送艦くにさき・北小路佳史通信員:
「おきてほしくはないですが、南海トラフ地震など大規模災害が起こった際は少しでも多くの人を助けられるように自身の技術を磨いていきたいと考えています」
午後10時消灯-
田村優介アナウンサーも隊員が使っているベッドで一夜を過ごしました。
翌日午前6時-
準備を整えて再びLCACに乗って訓練へ。砂浜へと上陸し、道路を復旧させるための重機や通信インフラを回復させるための車両を降ろしました。
海上自衛隊第1輸送隊・輸送艦くにさき艦長・鈴木隆弘2等海佐:
「LCACを使用して他の船舶が着岸できない場所にも輸送が可能でありますので、その特性を最大限に活用し南海トラフ巨大地震が起こった場合に少しでも多くの方を助けられる準備をしたいと思っております」
365日24時間体制で有事に備える海上自衛隊の輸送艦。近年頻発する大規模災害で頼もしい存在となっています。