「防災は自分にとって大切な人や場所を増やしていくこと」高知市夏季大学で慶大・大木聖子准教授
2024年7月24日(水) PM7時46分
地震学の専門家である慶応義塾大学の准教授大木聖子さんが高知市夏季大学で講演を行いました。日常をよりよくする防災について語りました。
慶応義塾大学環境情報学部・大木聖子准教授:
「防災っていうのは地震が起きた瞬間に生きるためにやっているのではなくて」
7月23日高知市夏季大学で講演をしたのは地震学・防災教育の専門家・慶応義塾大学環境情報学部准教授の大木聖子さんです。大木さんは何度も高知を訪れていて、県内各地で防災ワークショップを行っています。
慶応義塾大学環境情報学部・大木聖子准教授:
「10年前から土佐清水市と一緒に防災教育をさせていただいています。ですので高知空港に着くとそこから3時間半の旅ですね。高知市にストップしたことがないので
きょうはとてもうれしく」
大木さんは南海トラフ地震とはなにか、地震のメカニズムを実験の動画を交えながらクイズ形式で解説。
大木さん:「地震の正体は実は地面がスパっと割れる現象なんですね」
地震とは地面が割れて、ずれ動き、揺れが伝わる現象だと説明する大木さん。自分が災害に遭遇することを「自分ごと」として考えることが大切だと訴えます。そのための「防災小説」を会場の人たちが自分のスマホを使って体験しました。
来週火曜日の朝に地震が起こるという想定で、そのとき自分と家族は何をしているのかを会場の人たちが書き込んでいきます。地震が起きた時の状況やそのときの気持ち、最後は希望のある結末を考えます。
大木さん:
「家族全員生きている。笑顔でただいまとかおかえりとか言いたいですよね。自分も助かる。無事でいること」
大木さん:
「防災っていうのは地震が起きた瞬間に生きるためにやっているのではなくて、それがおこるまでの毎日毎日が実はいとおしい日々なんですよね。その日々を守るために防災をやる」
大木さん:
「防災っていうのは自分にとって大切な人や場所を増やしていくこと。防災を目的にするのではなくて、手段として使って、職場の一体感を出すとか、学級が仲良くなるとか、家族で会話が増えるとか、そういうふうに手段として防災をとらえて、何ができるかなっていうふうに考えていただく」
大木さんは防災とは災害に備えるためだけの課題ではなく、日常生活の中にとけ込む形で、生活を豊かにする前向きな手段として使うことが大切だと語りました。