家族が乗る車に“逆走車”が衝突『息子の泣き声だけ聞こえなかった』1歳の子供を亡くした両親が厳罰求める
2025年8月1日(金) PM8時20分 <PM8時30分 更新>
【動画には車が衝突する映像が含まれています】
2024年9月21日の高知東部自動車道。旅行で高知を訪れた大阪市の家族4人が、田野町の神社へ向かっていました。
すると突然、反対車線の車が目の前に。センターラインを越えて、わずか0.8秒。1歳の子どもの命が奪われました。午後0時50分ごろ、センターラインをはみ出した車と正面衝突。
神農諭哉さんが運転し、助手席には妻の彩乃さん、後部座席には当時6歳の長女と、1歳の息子・煌瑛ちゃんが乗っていました。
神農諭哉さん:
「一瞬のできごと。娘の泣き声、妻も痛いって言っていた。息子の泣き声だけが聞こえなかった。とりあえず息子を助けないと、という思いで人工呼吸をした」
煌瑛ちゃんは全身を強く打ち、高知医療センターで手術を受けましたが、亡くなりました。彩乃さんは内臓を損傷し、12カ所を骨折。事故後、意識を失いました。
事故から9日、彩乃さんはほとんど動けない状態で、高知市で開かれた煌瑛ちゃんのお別れ会にのぞみました。
神農彩乃さん:
「ほぼ寝たきりの状態から車椅子に乗る練習をして、車椅子に座るというか、リクライニングができる車椅子に乗って、両手に抱っこしました。あの重さは一生、忘れない」
警察は、車を運転していた高知市に住む当時60歳の会社員の男を逮捕。事故直後、男ははだしでした。
交通事故鑑定人・中島博史:
「自動運転機能で、このようなはみ出し運転をすることはありえない。人間が右にハンドルをきる操作をしないと、このような事故は起きない。はみ出し始めてから、衝突するまで1秒未満。はみ出した瞬間に気づいたとしても、ブレーキペダルを踏み込む操作をすることは人間にはできない。被害者側に過失は存在しないと思う。回避しようがないタイミングで明確な逆走の状態での衝突」
事故から10カ月あまりが経ち、検察は8月1日、男を過失運転致死傷の罪で在宅起訴しました。
玉井アナウンサー:
「起訴状から事故当時の状況が見えてきました。男はシートベルトを着用していませんでした。そして、運転支援装置を起動させた上で、靴を履き替えようと助手席の下に置いていたサンダルに左手をのばしました。その際、体は大きく倒れる状態に。右手で握っていたハンドルを急に右に切り、事故を起こしたとされています」
起訴された男は取材に対し、「事故の少し前から記憶がないので、事故のことは分からない。遺族には大変申し訳ない。2度と運転はしない」と話しました。
神農夫婦は1日、高知に到着しました。
諭哉さん:
「もうこんな事故を起こさない。少しでも減らしたい。今回の事故、厳罰にしないといけないと思っているので、署名活動をしに高知に来ました」
彩乃さん:
「こうちゃん一人で逝かせてしまったことを、後悔しない日はない。この先、家族が前を向いて進むために、こうちゃんにもしっかり見ててもらいたい。そばで見ててねと伝えたいです」