マダニによる感染症が過去最多のペースで増加 60代女性死亡事例も【高知】
2025年6月17日(火) PM7時30分 <PM8時06分 更新>
高知県内でマダニにかまれることによる感染症が過去最多のペースで増加しています。感染するとどんな症状が出るのか、どうすれば感染が予防できるのか、専門の医師に聞きました。
森林や草地に生息するマダニ。春から秋にかけ活動が活発になり県内ではこのマダニが媒介するウイルスの感染症が増えています。
県によりますとマダニによって感染する重症熱性血小板減少症候群=(SFTS)と日本紅斑熱の発生が増加。特にSFTSは今年に入り6月16日時点で8件発生していて、過去最多だった2014年の11件を超えるペースです。
5月には三重県の男性獣医師がマダニによる感染症の疑いがある猫を治療したあと亡くなっていたことがわかりました。この獣医師は亡くなる前の月にSFTSにかかった猫の治療にあたっていました。
5月になり呼吸困難などの症状で病院に搬送され、数日後に亡くなったということです。男性獣医師はマダニにかまれた痕はありませんでしたが、SFTSウイルスに感染していたことがわかりました。
田村優介アナウンサー:
「県内で増加するマダニによる感染症。その予防方法などを感染症の医師に聞きます」
近森病院の感染症内科部長である石田正之医師に話を伺いました。マダニは森林以外の都市部でも注意が必要です。
近森病院感染症内科部長・石田正之医師:
「外で飼っている犬猫がいたりして散歩とかした時にマダニをもらってきたりとか、あとはシカとかイノシシとかタヌキとかそういう動物も運び屋になる可能性があるので、そういう動物が例えば都市部に移動してきたりとか。草原とか自然の場所じゃなくても(野生動物に)接触することによって感染する可能性はあり得る」
県内で増加するマダニによる感染症。近森病院でも症例が増えています。
近森病院感染症内科部長・石田正之医師:
「今年は既に例年1年間の去年やおととしの数を超えている。現場で診療をしていると、非常に見る機会は増えている実感」
こちらは近森病院がSFTSと日本紅斑熱の症例を県に届け出た数です。15日時点で6件報告しており、去年1年間の5件を既に超えました。
またこのうち60代の女性が亡くなった事例も…
近森病院感染症内科部長・石田正之医師:
「特に大きな病気もなく元気で普通に生活をしていたような方だった。急激に具合が悪くなってお亡くなりになってしまったということもある。健康な方でも感染はするし、発症もするし、重症化したりお亡くなりになるリスクもある」
感染を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。マダニにかまれないように森や林に入る際は長袖、長ズボンなど肌の露出を少なくすることの他に次のように石田医師は述べます。
近森病院感染症内科部長・石田正之医師:
「お家に帰ってきた時すぐに体を洗い流す。パッと見てダニに刺された痕がないかどうか、結構実はダニに刺されても気づかない場合もありますので、そういうふうな形で注意をすることが大事」
実際に体にマダニがいた場合は…
近森病院感染症内科部長・石田正之医師:
「ダニがもうここ(体)にいるっていう場合は病院に行って取ってもらうのがいいと思います。下手につぶすと体液が出て、体液の中に病原体がいると、もしかしたら体の中に病原体が入って感染を起こすことがある」
増えるマダニの感染症。石田医師はこう訴えます。
近森病院感染症内科部長・石田正之医師:
「病気になってしまえば治るものであったとしても体調を崩したりとかありますから『なって治す』というよりはならないように予防することの方が断然いいかなと思います。それを考えるとダニに刺されない工夫をしっかり徹底して行うことが重要」