「まさかコレが…」学芸員も驚いた!高知県立美術館所蔵の1800万円絵画「少女と白鳥」に贋作疑惑
2024年7月16日(火) PM7時51分 <7月18日 PM5時34分 更新>
まずはこちらの絵をご覧ください。高知市の県立美術館でおよそ30年所蔵されてきた油彩画です。美術館はこの絵を1800万円で購入したのですが…「偽物かもしれない」という疑惑が出ています。世界の美術館を混乱させる「天才贋作師」の手口とは?
繊細かつ鮮やかに描かれた油彩画「少女と白鳥」。作者は1900年代前半に活躍したドイツの画家「ハインリヒ・カンペンドンク」といわれています。
県立美術館・奥野克仁学芸課長:
「カンペンドンクの中でも一番日本にある作品の中でいいものだと自負しておりました。まさかこれが”贋作かもしれない”というのは信じられない」
美術館自慢の絵に”偽物疑惑”が出ているのです。県立美術館がこの絵を入手したのはおよそ30年前。1996年に名古屋の画廊から1800万円で購入しました。画廊は美術品を扱う世界最古のオークションサイトで絵を落札したといいます。
県立美術館・奥野克仁学芸課長:
「”権威あるオークション会社で売られた”ということもありますので作品の真贋というのはまったく疑いがなくてですね」
鑑定書代わりのオークションカタログには画家・カンペンドンクの経歴が書かれていました。県立美術館は2023年11月の「開館30周年記念展」などこれまでにこの絵を15回展示。県外の美術館などに3回貸し出していました。
事態が急変したのは1本の電話でした。6月20日。過去にこの絵を貸していた徳島県立近代美術館から連絡が入りました。近代美術館が所蔵するジャン・メッツァンジェ作の「自転車乗り」という絵画が”偽物かもしれない”という内容でした。
県立美術館・奥野克仁学芸課長:
「アメリカのCBSニュースが”贋作者のベルトラッキ”を紹介していまして、それ(贋作の可能性があるもの)に徳島の作品とか高知の(作品)もありますよと情報をくれたわけです」
この人物が世界的なドイツの贋作画家「ヴォルフガング・ベルトラッキ」。画家やジャンルを問わず数百点に上る絵画の偽物を作ってきたことから「天才贋作師」と呼ばれています。
有名な作品を模倣するのではなく、世界中で作品そのものが行方不明になっている絵画を”あたかも本物のように”描くのです。県立美術館の「少女と白鳥」もー。
県立美術館・奥野克仁学芸課長:
「他の作品は図版があるんですけれども、この作品だけは名前と制作年は書いてありますけど場所は不明であると。戦争の間にどっか行ってしまったり、ドイツですのでユダヤ人の画商が扱っていた場合は迫害を受けて亡くなってしまったりとか」
本物の絵を誰も知らないため、ベルトラッキがオリジナルで描いた絵を”本物”と思い込んでしまうのです。県立美術館は6月末に購入元の画廊への聞き取りを行っていて、今後は絵の具の成分などを分析し、贋作かどうか調査していくとしています。
県立美術館・奥野克仁学芸課長
「もっとしっかりと調査をして購入を進めていくということと、所蔵している作品についても、展覧会に出品する場合に、きちんと調査をして展示をしていきたいと思っております」
調査結果は秋ごろに発表される予定です。